こんにちは。税理士の堀です。
前回の記事の続きです。
【関連記事】 会社の仕組みづくり【1】「自分がやるほうが早い」は間違い
なぜ社長は仕事を従業員さんと分業したほうがよいのか、
簡単な計算をしてみますね。
A社長と、従業員Bさんがいます。
ふたりとも、1日8時間働くとします。
A社長は、
◯という仕事を、1時間に4個仕上げられます。
△という仕事は、1時間に2個仕上げられます。
Bさんは、
◯という仕事は、1時間に1個仕上げられます。
△という仕事も、1時間に1個仕上げられます。
〇の仕事 | △の仕事 | |
A社長 | 4 | 2 |
Bさん | 1 | 1 |
これだけ見ると、A社長の能力のほうが圧倒的に高いので
A社長が〇の仕事も△の仕事もやったほうがいいような気がしますよね。
実際、このように考えている社長さんは多いです。
そういう社長さんは、自分がたくさんの仕事をやったほうが効率がいいと考え、
こんなことをしがちです。
(1)ありがちなパターン
A社長:◯を4時間、△を4時間やる。
Bさん:◯を4時間、△を4時間やる。
〇の仕事 | △の仕事 | |
A社長 | 16 | 8 |
Bさん | 4 | 4 |
合計 | 20 | 12 |
結果、◯は1日に20個でき、△は12個できますね。
さて、ここで、社長がより得意とする〇の仕事に力を注ぎ、
△の仕事は少しだけやることにしたらどうなるでしょう?
そのぶん、△の仕事はBさんに担当してもらいます。
(2)社長と従業員さんで分業するパターン
A社長:◯を6時間、△を2時間やる。
Bさん:◯はせず、△を8時間やる。
〇の仕事 | △の仕事 | |
A社長 | 24 | 4 |
Bさん | 0 | 8 |
合計 | 24 | 12 |
すると、○が24個、△が12個できます。
同じ8時間でも、(1)より(2)のほうが生産性があがっていますよね。
社長よりずっと能力の劣るBさんでも、
分業することで会社の生産性アップに貢献できるんです。
一見、能力が高い社長がたくさんのことをやったほうがいいように思えますが、
実はそうではないんですよ。
それでは、かえって会社全体の生産性がさがってしまうんです。
分業していれば、そのうちBさんも△の仕事に熟達してきますから、
1時間に2個や3個できるようになってきて、ますます生産性があがります。
A社長も、〇の仕事をさらにたくさんできるようになったり、
別の新しい仕事をする余裕ができたりする好循環が生まれます。
なんでも自分でやっていて、
多忙なのにうまくいっていないと感じている社長さんは、
分業の仕組みづくりについて一度真剣に考えてみてください。
会社の生産性を上げ、発展させるためには、分業の仕組みが不可欠ですよ。
※ちなみに、この計算は、リカードの比較生産費説(比較優位)に基づいています。
興味がある方は、調べてみてくださいね。