事業が失敗する理由

こんにちは。税理士の堀です。

 

私はいつも、中小企業の社長さんに

「会計の数字に意識を向けるとうまくいかなくなる」

とお話ししています。

数字に気を取られると、人の気持ちがわからなくなります。

従業員さんの気持ちもお客さんの気持ちも

見えなくなってしまいます。

そうなると、売上が下がっていき、いずれは事業が立ち行かなくなります。

今回はこのことについて書いていきますね。

 

 

社長さんが数字を気にしだすと、とにかく経費を削減しようとしがちです。

で、従業員さんの給料を減らしたり

無駄なことをしてないか見張ったりしてしまうんです。

 

すると、従業員さんのモチベーションが下がります。

給料を減らされたうえ、消耗品ひとつ使うのもうるさく言われたりしていたら、

当然、やる気もなくなりますよね。

 

そうなると従業員さんは、最低限やるべきことしかしません。

自分で努力してお客さんを喜ばせようなんて、してくれなくなります。

つまり、経費削減することで、

結果的にお客さんへのサービスが悪くなり、売上がさがってしまうんです。

 

先日、経営者同士で集まって飲みに行きました。

弊社では、クライアントの経営者さん同士が交流できるように、

定期的に飲み会を開催しているんです。

で、たまたまポストにふぐ料理の店のチラシが入っていたので、

そこに行ってみようということになりました。

チラシには、「ふぐ料理 通常7000円のコースが5000円!」と書いてあって、

これは興味があるなということになったんですね。

 

だけどその店、いまいちだったんです。

料理もだけど、給仕してくれる店員さんにもやる気がなくて、

料理をただ出して下げるだけという感じでした。

みんな経営者なので、そのあたりを見る目はシビアで、

早々に「この店にはもう2度と来ないよね~」とうなずきあいました。

 

その店は、おそらく経費を削減することで

通常より2000円安くふぐ料理を提供できているんでしょう。

確かに、それで1回はお客さんを呼べます。

でも、情報があふれ、お客さんの目も肥えている今の時代、

ただ安いだけでサービスが悪いと

お客さんに継続してきてもらうことはできません。

 

中小企業の事業が失敗するときは、たいていの場合、経営者が

お客さんでなく数字を一生懸命見ています。

数字を一生懸命見た結果、従業員さんのやる気を失わせ、

お客さんの足も遠ざかる悪循環におちいってしまうんです。

 

いま、ちょっとうまくいってないなあという経営者さんは、

ご自身が会計の数字ではなくて

お客さんの気持ち、従業員さんの気持ちにちゃんと目を向けられているか、

考えてみるといいかもしれません。

 

もし数字ばかり見ていたと気が付かれたなら、

その時間や労力をお客さんを見ることにあててみてくださいね。

悪循環から抜け出すには、それしかありません。

ABOUTこの記事をかいた人

大阪府出身、大阪府立大学卒。一般企業勤務後、父親が経営する会社に後継者候補として転職するも、父親が税理士のアドバイスに従って経営改善をした結果、状況がみるみる悪化していくのを目の当たりにし、会社の解散を提案。 経営税理士が経営に関しては素人と知って愕然とし、必死で会社を支えている社長を経営面からサポートできる税理士を目指し、税理士資格を取得。 その後、税理士として多くの経営者と付き合う中で、「成功する社長の考え方」を知る。 また、ランチェスター経営の第一人者、竹田陽一氏に師事。「大企業にできない中小企業ならではの戦略」を学ぶ。 現在は「中小企業の社長と従業員とその家族が幸せになれば、世の中が幸せになる」を合言葉に、クライアントの売り上げ向上と税金対策に携わっている。