税理士・堀が
中小企業の社長さんに心からお伝えしたい話を
スタッフとの対話形式でお届けします。
栗下
堀さん。
堀さんがよくおっしゃっている、
「社長は数字を見なくていい」
「経営分析をすると、かえって経営が難しくなってしまう」
というのは、どういうことなんでしょう?
堀
それはですね。
経営分析をしてしまうと、どうしたって利益の数字に意識がいきますよね。
そうしたら、
「なにがなんでも利益を出さなければ!」
とか、そういうことばかり考えてしまうからです。
これは、中小企業にとっては完全にマイナスです。
栗下
利益にこだわるのは、いいことではないのですか?
堀
じゃあ、栗下さん。質問なんですが…
自分の損得だけで生きている人、たまにいてるじゃないですか。
自分が得することばかり気にして、まわりが困ろうが知らん顔って人。
そういう人、好きになれます?
栗下
うーん…。
正直、仲良くなるのは難しいかもしれないですね。
信頼して心を開くのは無理だと思うし、
そういう人だとわかった時点で、なるべく関わらないようにします。
堀
そうですよね。僕もです。そんな人、好きになれないですよね。
これね、会社も同じです。
経営分析の数字を気にしていると、
お客さんや従業員さん、取引先の人、そういう人の気持ちよりも
利益が出るかどうかどうかにばかり目が行くようになってくる。
「お客さんが何を望んでいるか」を考えるのではなくて、
「どうしたら利益が出るのか」に時間と頭を使い始める。
利益を出すためなら、従業員さんや取引先の人を泣かせても仕方ないと思い始める。
そういう姿勢って、あらゆる場面で自然とあらわれてきます。
そうしたらどうなるか?
そう、そんな会社からは距離をおきますよね。
結局、会計で出てくる、損益分岐点とかそういった数字っていうのは、
人間の心とはかけ離れたところにあるんですよ。
だから、中小企業がそこにとらわれると、経営が難しくなる。
お客さんを喜ばせることに徹してる会社さんっていうのは、おのずと経営がよくなっていく。
そういうふうに僕は思っています。
たくさんの会社さんを見てきた経験から言っても、間違いないです。
お客さんを喜ばせて、従業員さんのことも喜ばせる。そのために努力する。
そういう経営をしているところって、利益が勝手に出るんですよね。
それを、数字にとらわれて、無理してでも利益を出そうというのは、
経営にとってマイナスでしかないと僕は思います。